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  • Writer's picturefuzuki hoshino

日記 3/2-3/12

3月2日(土)

学生時代のバイト先の先輩でずっと仲良くしてくれているいくさんが遊びにきた。いくさんは仕事が転勤になって宇都宮で暮らしていると思っていたけど、よくよく聞いたら水戸に住んでいるらしい。水戸ってどこですか、どんなところ?と聞くと、これといっていいところがない街と教えてくれた。

荷物を置きにうちに寄る。どこか松本で行きたいところや、したいことはあるか聞くと「特にない」と言うので、いくさんらしくて笑ってしまった。日が暮れてきたので、スーパーに行って食材を買って、一緒にロールキャベツを作った。ご飯を作っていると有吉さんが部屋から出てきて、いくさんを紹介する。3人で一緒にロールキャベツを食べた。有吉さんといくさんは、LE SSERAFIMが好きという話題で意気投合して盛り上がっていた。私がお風呂に入っている間もずっと話し続けていて、私はそこにうまく参加できないのでだんだんと眠くなってきて、自分の部屋に戻ってベッドに入る。リビングからはずっとふたりの話し声が聴こえてきて、私はそれを聞きながら眠りについた。



3月3日(日)

いくさんと山山食堂に朝ご飯を食べに行き、それから松本城まで散歩して、風が強すぎてさむい、さむい、と言いながら歩いた。はやく春にならないかな、と私が言うと「もう春が大丈夫になった?」と聞かれて、少し考えてから、昔よりずっと春が平気になったと答える。

それから、どんな人に惹かれるかという話をして、「自分にないものを持っている人」と言う私に「自分にないものって例えばなに?」って聞かれ、さっきまでぺらぺらと喋っていたのに私は何も答えられなくなって静かになる。自分にないもの、自分にないと思ってるもの、相手にはあると思っているもの。それって一体何なんだろう。別に私は、自分にないものを持っているからという理由で人のことを好きになっている訳ではないよなあ、と思い直す。

いくさんは、ぽつぽつと小さな石を置くように話をする。ずっと昔から私のことを知っていてくれる人、遠くにいても気にかけて見ていてくれる人。たまにしか会わなくても、そういう存在に私はとても救われているんだと思う。見えない距離にいても私と繋がっている人はたくさんいる。そういう人がいてくれることをたとえ普段は忘れてしまっていても、たまにちゃんと思い出したい。

電車の時間が迫っていたので駅まで見送りに行く。またいつでも遊びに来てね、と言って別れた。ホームへ向かういくさんの姿が見えなくなるまで見届けてから、イヤホンをさして音楽を聴きながら家まで歩いた。


3月4日(月)

季節の変わり目でほんとにメンタルがぐらぐらで、朝ご飯を食べて仕事をしていたところまではよかったのに、有吉さんが起きてきてからは自分にぜんぜん余裕がなくなってしまい、同じ空間にいるのがしんどくなって外に出た。よく晴れていたけど、風が強くて結局かなり寒い。自分の状態を言葉で説明できたらよかったのだろうけど、言葉になる前の感情がこんがらがっていて、それを伝える気力も勇気もなかった。ぐちゃぐちゃした気持ちを誰かに聞いて欲しくて、春乃さんに電話をすると風が強くてよく聞こえないと笑われる。今自分は何がしたいのだろう、と考えて、いちごのフルーツサンドが食べたいと思って、ツルヤに行っていちごと生クリーム、薄切りの食パンを買った。なんだかずっと気持ちがさみしい。誰かにやさしくしてほしい、人にやさしくできなくて苦しい。

家に戻って、いちごを洗ってヘタを取って、食パンにクリームを塗る。1パックのいちごをぜんぶ使って贅沢なフルーツサンドを作った。

クリームの白に、鮮やかないちごの赤色がきれいで、作りながら癒されてゆく。自分の手を動かして何かができあがることに救われるような気持ち。完成したフルーツサンドを写真に撮って春乃さんに送る。断面があまりきれいにはできなかったけど、十分美味しかった。ひとつ食べたところで、結構お腹いっぱいになって、自分の欲なんてこのくらいで満たされてしまうのだなあと思いながら、残りをラップに包んで冷蔵庫に入れた。

一切れは有吉さんにあげることにして、マジックで名前を書いて置いておく。さっきはあまりよくない態度をとってしまって逃げるように家を出てしまったから、次に話すときには普通に話せるといいなと思う。


3月5日(火)

Amazon primeで『Polaris』というドキュメンタリー映画を観た。主人公は、幼少期に母親から愛されなかった過去を大人になってもずっと引き摺っていて、人を愛することがうまくできず、愛情を表現されても信じるのが怖くて、つい疑ってしまう。その性格がまるで自分を見ているみたいだった。

映画を観終わると、母から電話がかかってきて「今日松本に寄る用事があるけど、お米を持っていこうか?」と聞かれた。「うん、お願い。ありがとう」と答えて、電話を切ったあとで、私はちゃんと愛されてきたのに、どうしてこんな風にいつまでも自信がなく、愛情がずっとむずかしいんだろうって思った。


昼過ぎから雪がたくさん降ってきて、大雪警報が出された。すぐるが車で迎えにきてくれてうめちゃん・すぐるの家に行く。

ふたりが引っ越しちゃう前にお家で鍋しようって誘ってくれて、今日は春キャベツと豚肉の鍋を食べた。(すぐる作!)

ふたりが引っ越してしまうことの実感がまだ湧かないけど、隣の部屋には荷造りされた段ボールが積まれていて変な気持ち。


ワインをたくさん飲んで、たのしい気持ちのまま雪の中をくるくる走ったり、止まったりしながら家まで帰った。


3月6日(水)

昼過ぎから駅前のサイゼリヤで作業。いつの間にか注文票の表記が数字に変わっている。

ハンバーグランチセットを注文して、ご飯少なめにしたらよかったっていつも思うのに普通のを注文してしまう。えりさんに「スピッツの曲で何が好き?」とLINEすると「魚」と返ってきて、イヤホンをしてその曲を聴く。


しばらくすると暖房のせいか頭がぼーっとしてきて、ドリンクバーでQooの白ぶどうスカッシュを飲んだ。仕事はぜんぜん捗らなかった。


3月12日(火)

雨が降っているのでホットケーキを焼く。フライパンを熱してから、濡れた布巾の上に押し付けるとじゅうう、と蒸気があがる。用済みのあたたかくなった布巾にいつもなんとなく触る。ホットケーキはきれいにまるくなって、焼き目は月面のような模様になった。

雨の日に焼くホットケーキは、空気中の湿度を生地が含んで、雨の味になる。生地と一緒にあまい空気を食べている。コーヒーの匂いも、いつもより濃く感じる。ざあざあ降っている雨よりも、しとしと降る雨の方がホットケーキは似合うと思う。



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